ヤリイカといえば、コリコリ食感の刺身が日本酒との相性が抜群のイカ。
ですが今回は、あえて少し違う組み合わせを試してみます。
用意したのは、茹でた「子供のヤリイカ」とスパークリング日本酒の「澪(みお)」。
やさしい甘みのある澪は、イカに合うのでしょうか。生姜醤油とバター醤油、2つの食べ方で実際にペアリングしてみました。
結論からいうと、思っていた以上に相性は良好。
漁師であり利酒師でもある筆者が、難しい理屈はほどほどに、実際に食べて飲んだ感想を紹介します。
その前に知っておきたい、イカとスパークリング日本酒の話

さっそく食べて飲みたいところですが、ちょっとだけ予習します。
今回の主役、子ヤリイカはいつがおいしいのか。
そして、スパークリング日本酒とは何者なのか。
知識はほどほどに、そのほうが一杯目も少しおもしろくなるはずです。
ヤリイカの旬は冬〜春、小ヤリイカは夏〜秋もおいしい
ヤリイカは、一般的には冬から春にかけて旬を迎えるイカです。
産卵のため沿岸へ近づく時期でもあり、地域によって差はあるものの、この時期に多く漁獲されます。
一方、夏から秋にかけては、小ぶりなヤリイカも出回ります。
今回使ったような子ヤリイカは、やわらかく食べやすいのが特徴。茹でたり、焼いたり、煮たりと、シンプルな料理でも楽しめます。
魚の旬というと「この季節だけ」と思われがちですが、成長段階によって違った味わいを楽しめるのも魚介のおもしろいところです。
スパークリング日本酒ってどんなお酒?
スパークリング日本酒とは、炭酸によるシュワッとした口当たりを楽しめる発泡性の日本酒です。
造り方はさまざまで、瓶内やタンク内で発酵させて炭酸を生み出すタイプのほか、炭酸ガスを加えて仕上げるものもあります。
味わいも、甘くフルーティーなタイプから、すっきり辛口のタイプまでさまざま。
日本酒にあまり馴染みがない人でも楽しみやすいものがあります。
ペアリングで注目したいのは、やはり「泡」。
料理を食べたあとにシュワッとした刺激が入ることで、口の中をさっぱりと感じさせてくれます。
魚介と日本酒といえば落ち着いた一杯を想像しがちですが、スパークリングを選ぶと、いつもとは少し違った組み合わせが楽しめます。
今回試すのは「子ヤリイカ×澪」

今回の主役は、小ぶりなヤリイカです。
大きなヤリイカに比べると食べやすく、さっと茹でるだけでも十分楽しめます。
まずはシンプルな生姜醤油。
もうひとつは、少し濃い味付けのバター醤油焼きにしました。
合わせるお酒は、あえて甘みのある一本。松竹梅白壁蔵「澪」。
シュワッとした炭酸とフルーティーな香り、やさしい甘みが特徴のスパークリング日本酒です。
こういう「本当に合うの?」という組み合わせこそ、試してみたくなります。
まずは定番!子ヤリイカを生姜醤油で食べてみる

まずは、茹でた子ヤリイカを生姜醤油でいただきます。
生姜醤油をつけてひと口。やはり、この組み合わせは安定しています。
イカのやさしい甘みに醤油の塩気が加わり、生姜の爽やかな辛味が全体を引き締めてくれます。
これだけでも十分、酒が進む味です。
海野生の子ヤリイカを購入した際に茹でるときには、長く加熱しすぎないのがポイント。火を入れすぎると身が締まって硬くなりやすいため、さっと茹でる程度にしましょう。
生姜醤油×澪は意外と相性がいい
続いて、よく冷やした澪を合わせてみます。
最初に感じるのは、澪らしいやさしい甘み。ただし炭酸があるため、後味は思っていた以上にすっきりしています。
子ヤリイカを生姜醤油で食べたあと、澪をひと口。
「これは、思ったより合う。めっちゃ合う!」率直な感想はこれでした。
イカと甘みのある酒だけでは、少し甘さが重なるようにも思えます。
ところが生姜醤油が加わると、バランスがぐっとよくなりました。醤油の塩気と生姜の刺激を、澪の甘みがやさしく包みます。
さらに炭酸が口の中をすっきりさせるため、次のひと口にも手が伸びます。
個人的には、生姜がかなりいい仕事をしている印象でした。
わさび醤油でも合いそう
食べながら、もうひとつ試したくなったのが「わさび醤油」です。
今回は生姜醤油でしたが、わさびのツンとした刺激も澪の甘みと相性がよさそうです。
生姜よりもキレのある味になるので、さらにすっきり楽しめるかもしれません。
こうしてひとつ試すと、また次の組み合わせが気になってくる。
魚と酒のペアリングのおもしろさは、こういうところにもあります。
子ヤリイカをバター醤油焼きにしてみる


続いては、少し方向を変えてバター醤油焼きです。
茹でた子ヤリイカをバターで軽く焼き、仕上げに醤油を加えます。
バターと醤油が熱せられた瞬間の香り。
これはもう、酒を呼ぶ香りです。
ひと口食べると、バターのコクと醤油の香ばしさがしっかり。
そこにイカの甘みが加わり、生姜醤油とはまったく違う味わいになりました。
味付けとしては、かなり濃いめです。
さて、ここに甘みのある澪は合うのでしょうか。
バター醤油の濃さを澪の炭酸が流してくれる
正直にいうと、生姜醤油よりも相性は難しいと思っていました。
バターのコクに甘い日本酒を合わせると、少し重たくなりそうだったからです。
しかし、実際に飲んでみると意外と悪くありません。
ポイントになったのは「炭酸」。
バター醤油を食べたあとに澪を飲むと、口に残った油や濃い味をシュワッと流してくれます。
甘みもしっかりありますが、泡のおかげで後口はスッキリ。
「スパークリング日本酒は、こういう濃い味にも使えるのか」
今回のペアリングで感じた、ひとつの発見でした。
バター醤油焼きには「澪ロック」がかなりよかった


ここで少し飲み方を変えてみます。
グラスに氷を入れ、澪を注いでロックにしました。
スパークリング日本酒をロック。
最初は少し変わった飲み方にも思えましたが、これがかなりいい。
しっかり冷えることで、澪の甘みが軽やかに感じられます。
さらに氷が少しずつ溶けると味わいもすっきりして、バター醤油の濃さとバランスが取りやすくなりました。
バター醤油焼きをひと口。
澪ロックをひと口。
すると口の中がさっぱりして、また子ヤリイカが食べたくなります。
これは危険なループです。
個人的には、通常の澪よりも「バター醤油焼き×澪ロック」のほうが好みでした。
味付けによって澪の飲み方を変えるのもおもしろい
今回試してみておもしろかったのが、料理によって澪の飲み方を変えることです。
生姜醤油のような比較的あっさりした味付けなら、よく冷やした澪をそのまま。
バター醤油のようにコクのある料理なら、氷を入れた澪ロック。
同じ子ヤリイカと同じ酒でも、料理や飲み方を少し変えるだけで印象はかなり変わりました。
魚と酒のペアリングというと、「この魚にはこの酒」と決めたくなります。
でも実際には、味付けや温度、飲み方によっても相性は変わるんですね。
いろいろ試して、自分の好きな組み合わせを探すくらいがちょうどいいのかもしれません。
まとめ:子ヤリイカ×澪|今回のペアリング結果


今回、茹でた子ヤリイカとスパークリング日本酒「澪」を合わせてみました。
生姜醤油では、醤油の塩気と生姜の刺激に澪のやさしい甘みがよく合います。
バター醤油焼きでは、濃い味を澪の炭酸がすっきり流してくれるのが印象的でした。
そして今回の個人的なお気に入りは、次の2つです。
・生姜醤油×よく冷やした澪
・バター醤油×澪ロック
魚と酒は、実際に合わせてみると意外な発見があります。
正解を探すというより、「これもアリだな」と楽しむくらいがちょうどいい。
今夜の一杯に、ぜひ自分好みの組み合わせを試してみてください。




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