秋といえば食欲の秋。野菜や果物だけでなく、実は「魚」もこの季節にグッとおいしくなるって知っていましたか?
「どの魚が秋に旬なの?」「スーパーで見分けるコツってあるの?」
この記事では、そんな疑問を解決。
秋に旬を迎える魚とそのおいしさの理由、選び方やおすすめレシピまで、現役漁師がやさしくご紹介します!
魚の「旬」ってどんな意味?

「旬の魚」ってよく聞くけど、実際にはどんな意味なのでしょうか?
簡単に言えば、「その魚が一番おいしい時期」のこと。
魚は季節によって脂ののり方や身のしまりが変わるので、同じ魚でも時期によって味がまるで違います。
旬の魚は味も良くて栄養価も高く、しかも価格も手ごろなことが多いので、家計にもやさしい優秀食材。
ちょっと意識するだけで、魚選びがもっと楽しくなりますよ。
秋に「旬」を迎える魚ってどうしておいしいの?

「食欲の秋」と言われるように、秋は魚もとびきりおいしくなる季節です。
でも、なぜ秋の魚がこんなにおいしいのか知っていますか?
- たっぷりエサを食べて脂がのる
- 冬に向けてエネルギーを蓄える時期
- 水温が下がり始めることで身が締まりやすい
- 産卵前や産卵後で味が変化することも
実は、自然のリズムや魚たちの生態が関係しているんです。
まずは、秋に「旬」を迎える魚がおいしい理由をチェック!

魚に詳しくなくても、「なるほど!」と思えるはずですよ。
たっぷりエサを食べて脂がのる
秋は海の中にエサが豊富な季節。魚たちはこの時期にしっかりエサを食べて、体に栄養をたっぷり蓄えます。
そのため、身に脂がのりジューシーでコクのある味わいに。
たとえばサンマやサバ、カツオなどは、秋になると脂ののりがグンと良くなり「これぞ旬の味!」というおいしさになります。
スーパーでも「秋サンマ」や「戻りガツオ」など、季節限定の名前で並ぶことがあるので、見つけたらぜひ手に取ってみてください。
冬に向けてエネルギーを蓄える時期
魚たちも人間と同じで、寒い季節に備えて秋のうちにエネルギーをためこみます。
気温も水温も下がるこれからに備えて、たくさん食べて脂肪をしっかり蓄えるのが秋。
この冬支度が、「うま味のピーク」となるんです。
とくにサバやサンマなどの青魚は、秋になると脂がたっぷりのって、煮ても焼いてもふっくらジューシー。
食べ応えがあって、ご飯がすすむおかずになりますよ。
水温が下がり始めることで身が締まりやすい
秋になると、海水温が少しずつ下がってきます。
この海水温の変化は、魚の体にとっても大きな影響があり、身がギュッと締まって弾力が増すんです。
脂がのっているのにベタつかず、ほどよい食感でとても食べやすくなるのが秋の魚の特徴。
特にお刺身にすると、その違いははっきりわかります。
プリッとした食感と濃厚な味わいが楽しめるので、ちょっと贅沢したい日の一品にぴったりですよ。
産卵前や産卵後で味が変化することも
魚によっては、秋が産卵の直前や直後にあたることがあります。
産卵前の魚は体力をつけるためにエサをたくさん食べるので、脂がのって身がふっくら。
一方、産卵後の魚はあっさりとした味になって、さっぱりした料理に向いています。
たとえば秋鮭は産卵のために川に戻るタイミングで漁獲されるため、旨みがぎゅっと詰まっています。
こうした「時期ごとの味の違い」も、魚料理の楽しみのひとつですね。
【厳選】スーパーで買える!秋が旬のおすすめ魚5選


秋は魚が一番おいしくなる季節。
でも、魚売り場を見ても「結局どれが旬?」と迷ってしまうことも。
そこで、スーパーで手に入りやすく、秋に特においしくなるおすすめの魚を5つ厳選してご紹介!
それぞれの魚の特徴や食べ方のヒントも合わせて、解説します。
サンマ|やっぱり秋の定番!脂のり最高


「秋といえばサンマ」と言われるほど、季節を代表する魚。
9月〜10月にかけては、北海道沖から水揚げされる脂ののったサンマが店頭に並びます。
選ぶときは、体がふっくらしていて背が青黒いもの、口先が黄色いものが◎。
塩焼きにすれば皮がパリッと香ばしく、身はふっくらジューシー。
大根おろしと一緒に食べれば、秋の味覚をまるごと楽しめます。
お値段も手頃なので、ぜひこの時期に味わいたい一品です。



最近はサンマの不漁が続き値段が高騰していましたが、少しづつ落ち着いてきましたね。
戻りガツオ|春より秋!!


カツオには「初ガツオ(春)」と「戻りガツオ(秋)」がありますが、脂がのっておいしいのは断然戻りガツオ。
エサをたっぷり食べて戻ってくるこの時期のカツオは、赤身に脂が入り、濃厚でコクのある味わいになります。
たたきにしても良し、刺身にしても良し。
玉ねぎスライスやにんにく・しょうがと一緒にポン酢で食べるとさっぱりして、ごはんにもお酒にも合いますよ。
サバ|「秋サバは嫁に食わすな」って本当?


「秋サバは嫁に食わすな」というコトワザがありますが、実は「それほどおいしいから」という意味で使われることもあるほど、秋のサバは格別。
脂がのり、身が厚くなるこの時期のサバは、焼いても煮ても旨みが段違い。
特に、味噌煮はごはんが止まらない一品になります。
スーパーで切り身が手軽に手に入るうえに、調理も簡単。魚が苦手な人にも食べやすい味なので、ぜひ秋に試してほしい魚です。
秋鮭|和食にも洋食にも合う万能選手


秋になると、産卵のために川へ戻ってくる「秋鮭(白鮭)」が店頭に並び始めます。
脂はほどよく控えめで、クセがなくあっさりとした味わい。
塩焼き、ムニエル、ちゃんちゃん焼き、クリーム煮など、和食にも洋食にもアレンジしやすいのが魅力です。
スーパーでは切り身や切り落としで販売されていることが多く、冷凍保存もOK。



忙しい日の主菜にも使いやすく、子どもにも人気の魚です。
しらす|秋の「しらす」は旨みが濃くてごはんがすすむ


しらすの漁の最盛期は、春と秋の年2回。
特に秋は身がしっかりしていて、旨みも濃くなるといわれています。
スーパーで見かける「釜揚げしらす」や「しらす干し」は、冷蔵・冷凍で保存できる便利食材。
ごはんにのせるだけでも美味しいですが、大根おろしと和えたり、卵焼きに混ぜたり、パスタに使ったりとアレンジも自在。
栄養も豊富で、カルシウムやDHAもとれるので、家族みんなで食べたい秋の味覚です。
地域ごとに違う!秋においしい地魚も知っておこう


実は旬の魚は地域によって少しずつ違うって知っていましたか?
その土地の気候や海の環境に合った「地魚」は、まさに今だけのおいしさ。
旅行先で出会った魚や、スーパーで産地表示を見たときにも役立ちます。
ここでは、全国各地の秋においしくなる地魚をご紹介します。
北海道・東北なら「秋鮭」や「ホッケ」


北海道や東北の秋といえば「秋鮭(白鮭)」が有名ですが、「ホッケ」も秋から脂がのっておいしくなります。
焼き魚の定番として知られていますが、旬のホッケはふっくら感が違います。
どちらも家庭で調理しやすく冷凍や干物でも手に入るので、ぜひこの季節に楽しんでみてください。
関東では「東京湾のマゴチ」


東京湾では、秋になると「マゴチ」が旬を迎えます。
見た目はちょっと地味ですが、クセのない上品な白身で、刺身や天ぷらにすると絶品。
東京湾の地魚としても知られており、近年はスーパーでも切り身や刺身用で見かけることが増えています。
関東ならではの、秋の味覚です。
東海地方では「カマス」や「サクラエビ」が旬


静岡や愛知などの東海エリアでは、秋に「カマス」が美味しくなります。
ふんわりとした白身で、塩焼きやフライ、干物にしてもおいしい万能な魚です。
そして忘れてはならないのが、静岡の特産「サクラエビ」。
秋は春と並ぶ漁の最盛期で、生や釜揚げ、かき揚げにすると香りが際立ちます。



地域ならではの「海の恵み」をぜひ味わってみてください。
北陸では「アカムツ(のどぐろ)」が旨い!


富山・石川・福井など、北陸地方の秋は、「アカムツ(のどぐろ)」が美味しい季節です。
通年水揚げされますが、特に秋口には脂がのったアカムツ水揚げされます。
「白身のトロ」と呼ばれるほど脂がのっていて、塩焼きや炙りで食べると旨みが口いっぱいに。
ちょっと贅沢したい日にもおすすめの秋のごちそうです。
関西ならでは!「明石の鯛」は秋にも美味しい


「鯛」といえば春の桜鯛を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実は秋にも、脂ののった美味しい鯛が水揚げされます。
特に有名なのが、関西を代表するブランド魚「明石の鯛」。
潮の流れが速い明石海峡で育った鯛は、身が締まってプリプリの食感が魅力です。
刺身はもちろん、鯛めしや塩焼き、煮付けにもぴったり。
ちょっと贅沢したい日や季節の変わり目に、ぜひ味わってみてください。
九州・四国なら「シイラ」がおすすめ!秋まで楽しめる南の旬魚


九州や四国の暖かい海では、秋まで「シイラ(マヒマヒ)」がおいしく楽しめます。
あまり馴染みがないかもしれませんが、地元ではムニエルや照り焼き、フライなどに使われる定番の白身魚。
クセがなくふんわりやわらかな身は、子どもにも食べやすく、普段の食卓にもぴったりです。
もしスーパーで見かけたら、ぜひ一度試してみてくださいね。
秋が旬の魚を使ったおすすめレシピ5選


秋に旬を迎える魚を使った、簡単でおいしいレシピを5つご紹介!
せっかくなら旬の魚を使って、季節を感じる食卓を楽しみたいですよね。
どれもスーパーで手に入る食材で作れるものばかりなので、ぜひ気軽に試してみてください。
サンマの塩焼き|定番だけどやっぱり外せない秋の味


秋の魚といえばやっぱり「サンマ」。脂ののった旬のサンマは、シンプルに焼くだけでごちそうになります。
- 生サンマ…2尾
- 塩…少々
- 大根おろし・レモン・醤油(お好みで)
下準備
サンマは表面の水気をふき取り、両面に軽く塩をふって10分ほど置く。
グリルで焼く
下準備したサンマを魚焼きグリルで両面を香ばしく焼くだけ。
仕上げ
仕上げに大根おろしとレモンやカボスを添えれば、秋らしい味わいに。



焼きたてをハフハフ食べるのが何よりの楽しみです!
戻りガツオのたたき風サラダ|ポン酢でさっぱり、ごはんにも合う


脂がのった戻りガツオは、さっぱりしたサラダ仕立てにすると食べやすく、見た目も華やかで食卓が映えます。
- 戻りガツオ(刺身用)…200g
- 玉ねぎ…1/2個
- 大葉…4〜5枚
- ポン酢…大さじ3
- おろししょうが・にんにく(お好みで)
下準備
カツオに塩を振って10分ほどおき、水気をペーパーでとる。
乗せたい薬味、玉ねぎを薄く切っておく。
フライパンで焼く
下準備したサンマを魚焼きグリルで両面を香ばしく焼くだけ。
仕上げ
玉ねぎをお皿に敷き、カツオをのせ刻んだ大葉をたっぷりのせます。
上からポン酢をかけて、おろししょうがやにんにくを添えれば完成。



簡単なので、忙しい日にもぴったりの一品です。
秋サバの味噌煮|ごはんが止まらない甘辛味


脂がのった秋サバは、味噌との相性が抜群。
しっかりした甘辛味で、ごはんが何杯でも食べられる一品です。
- サバ切り身…2切れ
- 味噌…大さじ2
- 砂糖…大さじ1.5
- 酒…大さじ2
- みりん…大さじ1
- しょうがスライス…2〜3枚
- 水…150ml
さばの選び方&下ごしらえ
破れを防ぐために皮に浅く切り込みを入れます。
熱湯をかけて霜降りをするとGood!( 血合いやぬめりを洗い流す。)
生姜は繊維を断つように薄切りにしておきます。
煮汁の準備&さばを煮る
鍋に味噌以外の煮汁の材料としょうがスライスを入れます。
中火にかけて沸騰したら、さばの皮を上にして並べ入れ、落とし蓋をして中火で10〜15分煮ます。
味噌を溶かして加え完成
煮汁をお玉1杯取り、味噌(大さじ2)を溶かしてから戻します。
仕上げに煮汁を少しかけながら味をなじませれば、ふっくら美味しいサバ味噌煮のできあがり!



時間がないときはこの工程をスキップしてOK
しらすと大根おろしの冷奴|手軽で栄養満点な副菜


あと一品欲しいときに便利なのがこの冷奴。釜揚げしらすの塩気と大根おろしのさっぱり感が相性抜群です。
- 絹ごし豆腐…1丁
- 釜揚げしらす…大さじ4
- 大根おろし…適量
- 刻みネギ・しょうゆ…お好みで
豆腐の上にたっぷりしらすと薬味をのせる
豆腐は軽く水気を切って器に盛り、大根おろし、しらす、刻みネギをのせて、仕上げにしょうゆをひとまわし。



火を使わずにできるうえ、しらすでカルシウムもとれるので、栄養面でも優秀な副菜です。
秋鮭ときのこのホイル焼き|包んで焼くだけの簡単メイン
秋鮭ときのこをホイルに包んで焼くだけのレシピ。蒸し焼き効果で旨みがぎゅっと詰まった一品になります


- 秋鮭(切り身)…2切れ
- しめじ、えのき、しいたけなど…各適量
- バター…10g×2
- 塩・こしょう…少々
- 酒…大さじ2
- アルミホイル…2枚
アルミホイル1枚の中央に、秋鮭とほぐしたきのこをのせ、塩・こしょうをふり、酒をかけて、バターをのせる。
もう1枚のホイルでぴったり包み、蒸気が逃げないようにします。
オーブントースターまたはフライパンで約15分蒸し焼きにします。
お好みでポン酢やレモンをかけてどうぞ!
秋が旬の魚はここを見る!スーパーでの選び方ガイド


秋ならではの魚の選び方を、わかりやすくご紹介!
実は、魚の「旬」は見た目や状態にちゃんとサインが出ているんです。
ちょっとしたコツを知っておくだけで、美味しくて新鮮な秋の魚を見分けられるようになりますよ。
脂がのっている魚はツヤが違う!秋の魚の光り方に注目
秋の魚は脂がのっているのが大きな魅力。
スーパーで魚を選ぶときは、その「ツヤ感」に注目してみましょう。
サンマやサバ、カツオなど、皮にしっとりとした光沢があり、見るからに「おいしそう」に見えるものが狙い目です。
逆に、乾いてパサついて見える魚は鮮度が落ちていることも。
切り身でも表面がツヤっとしているもの、脂がにじんでいるようなものは、旨みが詰まっている証拠です。
身がふっくらしているか?丸々太った魚が当たり!
秋の魚は、エサをたくさん食べて太っているのが「食べごろ」。
サンマやアジなど丸ごと1尾で並んでいる場合は、お腹がふくらんでいて身がふっくらしたものを選ぶとハズレが少ないです。手に持ったときに、重みを感じるのもポイント。
また、切り身でも厚みがあって身がふっくらしているものは、脂がのっておいしい可能性が高いです。



細くてペラペラなものより、「ぽってり」したものを選びましょう。
切り身の色にも注目!くすんでいたら鮮度に注意
赤身魚(カツオ・サバなど)や白身魚(タイ・サケなど)は、切り身の色を見ることで鮮度をある程度判断できます。
赤身なら、明るくツヤのある赤〜ピンク色のもの。くすんだ茶色っぽい色は鮮度が落ちてきているサインです。
白身魚は、透明感があってツヤのあるものが◎。
また、パックの底に赤い液体(ドリップ)がたまっている場合は、うま味が抜けてしまっているので注意しましょう。
「今が旬です」POPを要チェック!売り場の情報を活用しよう
スーパーの魚売り場には「今が旬」「おすすめ」などのPOP(商品札)がよく使われています。
実はこれ、仕入れ担当の人が「自信を持っておすすめする魚」に付けていることが多いんです。
自分では判断しにくいときは、このPOPをヒントに魚を選んでみるのもひとつの方法。
また、「本日入荷」や「地元産」などの表示も新鮮な証拠。売り場のちょっとした情報に目を向けると、旬の魚選びがグッと楽になりますよ。
干物にも注目!秋の保存食は実は『旬』の証拠


生魚だけでなく、干物や釜揚げしらすなどの加工品にも秋の旬はあります。
たとえば、秋のカマスやホッケは脂がのっていて、干物にすると旨みがギュッと濃縮されます。
スーパーで「今だけ」や「新物」などの表示があれば要チェック。
保存食の中にも、季節を感じられる旬の味がしっかり詰まっているんです。



冷凍保存もできるので、忙しい日のおかずにも便利。
まとめ|秋の旬魚は、毎日のごはんがちょっと楽しくなる


秋に旬を迎える魚は、脂がのっておいしく、栄養もたっぷり。
難しそうに感じる魚料理も、ちょっとした選び方やレシピの工夫で、気軽に食卓に取り入れることができます。
スーパーで「旬」の魚を見つけたら、ぜひ一度チャレンジしてみてください。
季節を感じながら、ごはん作りが少し楽しくなる……そんな毎日にきっとつながりますよ。