釣り人の間で人気の「サゴシ」。
ショアジギングやルアー釣りでもよく釣れ、食べても美味しいことから、初心者からベテランまで幅広く親しまれています。
この記事では、サゴシの特徴や釣れる時期、狙い方のコツから、美味しく食べるためのレシピまで、サゴシの魅力を現役漁師の海野さんが徹底解説します!

釣りに行く前にも、ぜひチェックしておきましょう。
サゴシとは?


サゴシは、鰆(サワラ)の若魚で、成長段階に応じて名前が変わる「出世魚」の一種です。
体長はおよそ30〜50cm前後で、スマートな体型に鋭い歯を持ち、スピード感のある泳ぎが特徴。
サゴシは回遊性が高く、秋から冬にかけて沿岸に接岸することが多いため、堤防やサーフから狙える釣魚としても人気があります。
サゴシの大きさ・見た目・味の特徴


- 大きさ
-
体長40〜50cmほど
- 見た目
-
細長い体に、背中が青みがかった銀色。
体の側面にうすい縦じま模様があります。
鋭い歯も特徴の一つ。
- 味の特徴
-
サゴシは赤身の青魚。
クセが少なく、脂はほどよく、焼き物・揚げ物・刺身でも楽しめる魚です
サゴシは身がやわらかく傷みやすいため、釣ったらすぐに処理するのが美味しく食べるコツです。
サゴシの成長ごとの呼び名(エリア別)


サイズの目安 | 関東での呼び名 | 関西での呼び名 |
---|---|---|
30〜50cm前後 | サゴチ | サゴシ(サコシ) |
50〜70cm前後 | ナギ | ヤナギ |
70cm以上 | サワラ | サワラ |
このように、同じ魚でも成長に伴い呼び名が変わり、地域によっては中間サイズの呼び方に違いが見られます。
大型になると関東・関西ともに「サワラ」と呼ばれるのが一般的です
サゴシとサワラの違い


サゴシとサワラは、同じ魚の成長段階で呼び名が変わる「出世魚」です。
主な違いは大きさ・味・価格にあります。
項目 | サゴシ | サワラ |
---|---|---|
大きさ | 50cm以下の若魚 (関東では50cm未満、関西では約50cmまで) | 関東では50cm以上、関西では70cm以上の成魚 |
味 | 脂が少なく、あっさりとした淡白な味わい | 脂がのっており、旨味が濃く上品な味わい |
価格 | 比較的リーズナブル (例:1kgあたり約800円前後) | 高級魚として扱われる (例:1kgあたり約1,500円前後) |
見た目はほぼ同じで、どちらも背が青みがかった灰色、黒い斑点、腹は白銀色で光沢があります。
サゴシ・サワラは赤身魚に分類され、肉質はマグロに似ているのも特徴です。
- サゴシは脂が少ないため、焼き物や揚げ物向きで、価格も手頃。
- サワラは刺身や西京焼きにも適しており、脂の乗りが良く人気。
地域によって呼び方に違いはありますが、大きさが70cm以上になれば「サワラ」で統一されることがほとんどです。
サゴシが釣れる時期と場所


サゴシは春と秋に接岸しやすく、岸からも狙いやすい人気ターゲット。
とくに春は釣果が安定しやすく、多くの釣り人にとって「ベストシーズン」とされています。
■ サゴシが釣れるシーズン早見表
時期 | 特徴 | 釣果傾向 |
---|---|---|
春(3〜5月) | 水温の上昇と産卵前後の荒食い期で活性が高い | 非常に釣れやすい |
夏(6〜8月) | 地域によって差がある | 不安定 |
秋(9〜11月) | ベイトを追って回遊。 気温次第で活性高まる | 釣果は十分出る |
冬(12〜2月) | 深場に移動し岸からの釣りは難しい | 船釣り向き |
ポイント
- 水温が上昇し、岸近くに接岸する
- 産卵前の荒食いでルアーへの反応が良い
- 朝まずめ・夕まずめが特に高確率
■ よく釣れる場所の特徴
サゴシはベイトフィッシュを追って回遊する回遊魚。
「小魚が集まる場所」=「サゴシの釣り場」と考えるのが基本です。
- 沖堤防・防波堤の先端
-
潮通しが良く、遠投が効く。サゴシの実績が高い。
- サーフ(砂浜)
-
広範囲を探れる。朝夕のまずめ時にヒットしやすい。
- 外洋に面した港湾部や岬の先端
-
回遊ルートの途中にあたり、群れが入りやすい。
- 日本全国で狙えるが、太平洋側は近年釣果が増加傾向
-
地球温暖化の影響で、サゴシの北上も確認されている。
サゴシは群れで行動する魚です。
そのため、1尾釣れたらチャンス!
群れがいる間は連続ヒットも狙えるため、テンポよく釣り続けるのがポイントです。



サゴシは比較的どこでも釣れる魚ですが、釣れる「確率」を上げるなら、潮通し・ベイト・群れの動きを意識して、ポイントを選びましょう。
サゴシの釣り方


サゴシは鋭い歯と俊敏な動きで知られる青物。
初心者でもチャレンジしやすく、ショアジギングやルアー釣りで人気のターゲットです。
ここでは、釣りに必要なタックル選びから実践テクニック・よく釣れる時間帯・よくある失敗とその対策までを網羅的に紹介します。



サゴシ釣りでは、「ルアー選び」「操作テク」「時合いの見極め」が釣果を左右するカギになります。
1. タックルとおすすめルアー
まずは、サゴシ釣りに必要なタックル選びと、実績の高いおすすめルアーを紹介します。
項目 | 詳細 |
---|---|
ロッド | ライトショアジギングロッド(8〜10ft) ※エギング・シーバスタックルでも可 |
リール | 中型スピニングリール(3000〜4000番台) |
ライン | PE1.0〜1.5号+フロロ20lb前後 ※ワイヤーリーダー推奨 |
ルアー | メタルジグ(20〜40g) ブレードジグ シンキングミノーも有効 |
ライトショアジギング用の汎用タックルでも狙えるため、初めての青物狙いにも最適です。
【人気のおすすめルアー】
2. 基本の釣り方・ルアー操作
タックルを揃えたら、次は実践です。
■ ルアー操作の基本パターン
操作方法 | 特徴・効果 |
---|---|
ただ巻き | 活性が高いときは高速巻きでヒットしやすい。基本のアプローチ。 |
ストップ&ゴー | 動と静をつけて食わせの間を演出。低活性時に有効。 |
ワンピッチジャーク | 竿を上下に軽く動かしてジグを踊らせる。アピール力が高い。 |
フォール | 弱ったベイトを演出。ジャーク後に沈めて喰わせのタイミングを作る。 |
ルアーの動かし方やアクションのバリエーションを理解すれば、釣れる確率がグッと上がります。
ポイント
サゴシは歯が鋭いため、ルアー回収時にリーダーを確認し、傷があれば即交換!
また、ラインブレイク対策として30〜40lbのフロロカーボンリーダーを使うのが基本。



さらに不安な人はワイヤーリーダーや二重構造も選択肢に入れておくと安心です。
3. よく釣れる時間帯・潮の狙い方
魚の活性が上がる「時合い」を狙うことは、サゴシ釣りでの最大の近道。
- 時間帯
-
朝まずめ・夕まずめが鉄板!
ベイトが浅場に寄り、サゴシも活発に回遊。
- 潮の動き
-
潮止まり直前〜動き始めがベストタイミング。
- サインを見逃すな!
-
表層にナブラ(ベイトを追う波紋)やボイル(跳ね)が出たら即狙い。
群れが近くにいる証拠!



潮の動きやベイトの動きとリンクさせて、最も釣れやすい時間帯を逃さないようにしましょう。
4. サゴシ釣りよくある失敗と対策
サゴシ釣りでありがちな失敗と、その対処法を知っておくことで、釣果を逃さずに済みます。
失敗例 | 対策ポイント |
---|---|
ラインブレイク | ワイヤーリーダー使用。 ジャークを強くしすぎない。 |
アタリが出ない | 巻きスピード調整。 フォールやストップ&ゴーを試す。 |
ナブラが消える | 広範囲に探る。 ナブラが消えても群れが残っている場合も多い。 |



初心者でも注意すべきポイントを押さえておけば、トラブルの多くは回避できます。
釣ったサゴシを美味しく持ち帰るには? 鮮度を保つ4つのコツ


簡単なようで意外と難しい、釣り上げたサゴシを、自宅で美味しく食べる。
それには「釣った直後からのちょっとした気配り」が欠かせません。
実はサゴシは青物の中でも特に傷みやすい魚。
でも大丈夫です。押さえるべきポイントさえ知っておけば、驚くほど美味しい状態で食卓に並べることができます。
今回は、釣った直後から家に持ち帰るまでの流れを、初心者にもわかりやすくまとめました。
1|釣ったらすぐに!サゴシの血抜きで鮮度と旨みをキープ


サゴシを釣ったら、まずやるべきは「血抜き」です。
特に青物は血の量が多く、これをしっかり抜いておかないと、身に血がまわって味も落ちやすく、臭みも出やすくなります。
脳締めで即死させる
釣れた直後のサゴシは、まず脳締めを行います。
ナイフやアイスピックなどで目と目の間を狙い、脳を一気に貫くことで即死させるのがコツ。
心臓がしばらく動き続けるため、あとで行う血抜きの効率が格段に上がります。



即死させることで、暴れて身が傷むのを防ぐ効果もあります。
エラを切って海水で血抜き
次に、エラの付け根を切り、太い血管を断ちます。
そのまま海水が入ったバケツに15〜20分ほど浸けると、血が固まりにくくなり、しっかりと血が抜けていきます。
- 血抜き中に、尾ビレを軽く動かしてあげると、さらに効果的。
- 真水ではなく海水を使うのが大事なポイントです。



絶対ではないですが、尻尾の付け根を、背骨まで切っておくのも効果的です。
神経締め(できるなら)
時間と道具に余裕がある場合は、神経締めもおすすめです。
背骨に沿ってワイヤーや針金を通すことで、魚の神経を破壊。これにより筋肉の硬直が遅れ、刺身の食感がアップします。
神経の穴に入るとポカリと口を開きます。さらにビクッと痙攣したら成功です。



手間はかかりますが、生食を考えているなら実施したい工程です。
ぬめりを取って内臓を除去
血抜きが終わったら魚体のぬめりをしっかり流水で落とし、可能ならその場で内臓を取り除きましょう。



刺身で食べたい人は、必ず内臓はとっておきましょう。
今までサゴシにいたことはありませんが、寄生虫(アニサキス)対策として有効です。
2|氷はある?クーラーボックスでの持ち帰り方
血抜きが終わったら、しっかり冷やして持ち帰るのが鮮度維持のポイント。



でも、ただ氷の入ったクーラーボックスにサゴシを入れるだけじゃダメです。
じつは、魚と氷が直接触れると身が凍傷のように傷むことがあるんです。
おすすめはこんな工夫。
- 氷は袋に入れて使うor保冷剤を使う
- サゴシの下にキッチンペーパーや新聞紙を敷く
- クーラーボックスの中で魚が水に浸からないようにする
氷を袋に入れずとも、サゴシの方をビニールに入れるのもあり◎。
魚が冷たく、でも濡れずに済む状態を保てれば完璧です。
3|家に着いたらすぐ、丁寧に拭いて包む
家に帰ったら、まずサゴシの水気を拭き取ること。
この水分、見落とされがちですが、実は傷みの原因ナンバーワン!
キッチンペーパーでしっかり水気を取り除いてから保存に入ります。
- 冷蔵の場合
ラップで包んでジッパー袋に。チルド室がおすすめ。 - 冷凍の場合
ラップ+アルミホイル+保存袋の三重構造で。
冷凍前に切り身や一夜干しにしておくと、調理もしやすくなりますよ。
4|覚えておきたい!サゴシ持ち帰りの基本まとめ
処理の段階 | ポイントまとめ |
---|---|
釣った直後 | エラを切って血抜き。できれば内臓も除去する。 |
クーラーボックス内 | 氷は袋に入れる。魚に水や氷が直接当たらないように。 |
家に着いてから | キッチンペーパーで水気を取る。保存はラップ+密封が基本。 |
長期保存するなら | ラップ+アルミホイルで包み、冷凍庫へ。 冷凍焼け防止にも効果的。 |
サゴシは、釣って楽しい、食べておいしい魚。
でもそのおいしさは、釣ったあとにどう扱うかで決まります。
- 血抜き
- 水気の管理
- 適切な保冷と保存
この3つを意識すれば、釣り場の感動をそのまま食卓へと持ち帰ることができるはずです。



次回サゴシが釣れたら、ぜひこのコツを試してみてくださいね。きっと「こんなに旨かったのか」と驚くはずです。
サゴシを美味しく味わう!おすすめレシピ4選


釣って楽しく、食べて美味しい「サゴシ」。その淡白でクセのない身は、さまざまな料理にアレンジしやすく、和洋どちらの味付けにもよく合います。
ここでは、釣ったサゴシを美味しくいただくための定番レシピを4つご紹介します。



食いしん坊担当の堀江が選ぶ4レシピです!
1. サゴシの塩焼き:素材の旨みを引き出すシンプルな一品


シンプルだからこそ、サゴシ本来の味を楽しめる定番料理。
皮目はパリッと香ばしく、中はふっくらジューシーに仕上げるのがポイントです。
- サゴシの切り身…2切れ
- 塩…適量
- サラダ油…小さじ2
- 大根おろし・レモン…お好みで
作り方
下準備
サゴシの両面に塩を振り、冷蔵庫で15分ほど置いておく。
表面に浮いた水分をキッチンペーパーでしっかり拭き取る。
焼く
フライパンに油を熱し、皮目を下にして中火で6分ほど焼く。
裏返してさらに3分。ふたをして蒸し焼きにするとふっくら仕上がる。
盛り付けて完成!
お皿に盛り付けて、お好みで大根おろしやレモンを添えて完成。



シンプルながら、焼き加減次第でぐっと美味しく!簡単ながら旨味を味わえる最適な調理法です。
2. サゴシの西京焼き:味噌のコクと甘みでご飯が進む


白味噌の甘みとコクがサゴシの淡白な身にぴったり。
前日から漬け込んでおけば、翌日焼くだけの簡単メニューにもなります。
- サゴシの切り身…2切れ
- 白味噌…大さじ3
- みりん…大さじ2
- 酒…大さじ2
- 砂糖…小さじ1
- 大根おろし・柚子胡椒…お好みで
作り方
下準備(味噌床を作る)
白味噌・みりん・酒・砂糖を混ぜて味噌床を作る。
味噌床で寝かせる
サゴシの切り身を味噌床に漬け、冷蔵庫で8時間〜一晩寝かせる。
焼く
味噌を軽くぬぐい、皮目を下にして中火で焼く。
焦げやすいので注意。
盛り付けて完成!
両面がこんがり焼けたら完成。
お好みで大根おろしや柚子胡椒を添えて。
一晩寝かせることでしっとりと美味しくなります。



西京味噌の優しい甘さとサゴシの旨みが相まって、ご飯がすすむ味わいに。間違いなしの一品ですよ!!
3. サゴシの南蛮漬け:冷蔵保存OK、作り置きにもぴったり


サゴシの南蛮漬けは、揚げた切り身を酢と野菜の南蛮ダレに漬け込む美味しい定番料理。
淡白なサゴシの身に、酢の酸味と野菜の甘みが染み込み、ご飯にもお酒にもよく合います。
- サゴシ切り身…2切れ(約200g)
- 塩・こしょう…各少々
- 片栗粉…適量
- 玉ねぎ…1/2個(薄切り)
- にんじん…1/3本(細切り)
- サラダ油…大さじ3〜4(揚げ焼き用)
南蛮ダレ
- 酢…大さじ3
- しょうゆ…大さじ2
- みりん…大さじ2
- 砂糖…大さじ1
- 水…大さじ1
作り方
下ごしらえ
サゴシに塩・こしょうをふり、10分ほど置いたら水分をふき取り、片栗粉をまぶす。
にんじんは細切りに、玉ねぎは薄切りにする。
揚げ焼き
フライパンに油を熱し、サゴシの両面をカリッと揚げ焼きします(中火で3〜4分ずつ)。
漬ける
揚げたてのサゴシを、玉ねぎ・にんじんと一緒に南蛮ダレに10分以上漬けます。
冷やす(おすすめ)
粗熱がとれたら冷蔵庫で30分以上漬けると、酢がまわり味がしっかりしみ込みます。
もちろん温かいまま食べてもおいしいですよ。
サゴシの南蛮漬けは暑い季節にぴったり! 酢の酸味でさっぱり食べられます。



野菜もたっぷり摂れるのが魅力で、冷蔵保存で翌日も美味しいです。
4. サゴシの刺身:釣り人だけが味わえる新鮮なごちそう


鮮度が良いサゴシは刺身でも楽しめます。皮を炙った「焼き霜造り」もおすすめ。
鮮度抜群ならではの特別な味わいです。
- サゴシの刺身用切り身(皮付き)…1柵分
- しょう油・ポン酢・わさび・にんにく・大葉など…お好みで
作り方
3枚におろす
サゴシを3枚おろしにし、血合いや骨を丁寧に取り除く。
皮を炙る
そぎ切り
キッチンペーパーで水気を拭き取り、薄くそぎ切りにする。
盛り付けて完成!
お皿に盛り付け、お好きな薬味と一緒にいただく。
ポイント
- 三枚おろしにして、骨・血合い・内臓をしっかり除去。
- 皮付きのまま軽く炙ってから、切ると食感も◎。
- ポン酢+にんにくスライスや、わさび醤油でいただくのが美味しい。
このように、素材を活かした和食からお刺身まで、サゴシは幅広いレシピで活躍します。



釣りたてを丁寧に処理し、適切に保存すれば、刺身でも焼き物でも美味しくいただけますよ。バターを使ったムニエルもいいですね!
まとめ:サゴシは釣って楽しい、食べておいしい万能魚


初心者でも狙いやすく、釣果も味も楽しめる「サゴシ」。
釣りの魅力と食の魅力の両方を兼ね備えた、まさに万能なターゲットです。
これからの釣行プランに、ぜひサゴシを加えてみてください。