マグロといえば、お寿司やお刺身の定番。
でも、「本マグロ」「キハダ」「ビンチョウ」など、いざ買おうとすると種類が多くて迷ってしまうこともありますよね。
実はマグロにはいくつかの種類があり、それぞれに味わいや脂ののり、見た目の違いがあるんです。
この記事では、よく見かけるマグロ5種類の特徴や見分け方を現役漁師の海野が解説。
スーパーでの選び方や、シーン別のおすすめもご紹介します。

「今夜のお刺身はどれにしよう?」そんなときにぴったりのマグロががきっと見つかりますよ!
そもそもマグロってどんな魚?


マグロといえば、「手に入りやすくて、赤身でおいしい魚」の代表格。
スーパーにもいろんな種類のマグロが並んでいますが、その違い実はあまり知らないのでは?
ここでは、そんなマグロの基本の「き」からわかりやすく紹介していきます。
マグロは全部で何種類あるの?


私たちが普段よく食べているマグロは、主に5種類あります。
- 本マグロ(クロマグロ)
- ミナミマグロ(インドマグロ)
- キハダマグロ
- メバチマグロ
- ビンチョウマグロ
名前や見た目は似ていても、脂ののりや味わいはそれぞれに個性があります。
この5種類を知っておくだけで、スーパーや寿司店で「どれを選ぶか」がぐっと楽しくなりますよ。



西日本では、コシナガマグロという体長60cmほどのマグロも水揚げされます。流通量が少ないので、あまり馴染みがないかもしれませんね。
【マグロ大国ニッポン】食卓にのぼるマグロは年間およそ70万トン!


マグロといえば、日本人にとっては「いつでも食べたいごちそう」。
実は、日本国内で流通しているマグロの量は、年間およそ70万トン(※)にもなります。
この数字は、日本の漁師さんが獲ったマグロに、海外からの輸入分を加えたうえで、輸出されるぶんを差し引いたもの。



つまり、日本の家庭やお店で実際に食べられている量なんです。
お寿司や刺身、丼ぶりはもちろん、最近はツナ缶やカルパッチョなど、マグロの食べ方もますます多彩に。
その分、消費量もどんどん増えているわけですね。
近年は漁獲制限が進んでいるって本当?


実はここ数年、マグロは「とりすぎ」が問題になっていて、国際的に漁獲量が制限されるようになっています。
とくに本マグロ(クロマグロ)は数が減ってしまい、資源保護のために厳しいルールが設けられました。
いまでは養殖マグロの技術も進み、スーパーに並ぶマグロの一部は養殖ものも増えています。
おいしいマグロをこれからも食べ続けるために、こうした取り組みも知っておくと大切ですね。



最近は資源も回復してきて、漁獲枠も拡大されてきています。
見た目や味の違いってあるの?


マグロは種類によって、赤身の色の濃さや脂ののり、食感などがまったく違うんです。
脂がのった濃厚なマグロもあれば、あっさりした赤身が楽しめるマグロもあります。
こうした違いを知っておくと、気分やシーンに合わせてマグロを選ぶ楽しさが生まれます。
好みや料理に合わせて選べば、いつもの食卓もちょっと特別になりますよ。
どのマグロがあなた好み?人気5種の特徴と味わいを解説


普段、スーパーや回転寿司で見かけるマグロですが、実は種類によって味も見た目もけっこう違うんです。
ここでは、よく流通している人気5種のマグロについて、特徴・味・向いている食べ方まで一目でわかる比較表とともに解説します。
種類 | 見た目の特徴 | 味わい | 向いている食べ方 | 備考(別名など) |
---|---|---|---|---|
![]() ![]() 本マグロ (クロマグロ) | 黒っぽく大型。ずっしり重量感あり | 脂がのって濃厚。とろける口当たり | 寿司・刺身・鉄火丼 | 「黒いダイヤ」とも呼ばれる高級魚 |
![]() ![]() ミナミマグロ (インドマグロ) | やや小ぶり。身色は明るめ | 脂はやさしめでバランスよし | 寿司・刺身 | 回転寿司での登場も多い |
![]() ![]() メバチマグロ | 丸みのある体型。目が大きい | 脂少なめであっさり。クセがなく食べやすい | 冷凍刺身・寿司・丼 | 別名「バチ」。冷凍流通も多い |
![]() ![]() キハダマグロ | 黄いろいヒレが特徴。赤身は明るめ | コクがあり、歯ごたえもほどよい | 漬け・タタキ・丼 | 手ごろな価格で通年流通 |
![]() ![]() ビンチョウマグロ | 白っぽいピンクの身色。胸ビレが長い | 淡白でクセがなく、柔らかい | ツナ缶・刺身 | 「ビンナガ」や「トンボマグロ」 |
→ 各マグロの詳細は、下で個別に解説!
【① 本マグロ(クロマグロ)】脂がのった「マグロの王様」
- どんなマグロ?
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本マグロは最大3メートルにもなる大型のマグロで、体は黒っぽくずっしりとして存在感抜群。
日本近海や地中海など世界中で漁獲されていますが、特に天然ものは高級魚として知られています。
漁師や市場関係者の間では、「黒いダイヤ」とも呼ばれるほど価値のある魚です。
- どんな味わい?
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脂がしっかりのっていて、とろけるような食感と深いコクが魅力です。
赤身でも濃厚、トロになると甘みと旨みが口いっぱいに広がります。
贅沢感を味わいたいときにぴったりの、まさに「マグロの王様」です。
【② ミナミマグロ(インドマグロ)】やさしい脂でバランス◎
- どんなマグロ?
-
ミナミマグロはインド洋や南半球でよく獲れるマグロで、「インドマグロ」とも呼ばれています。
本マグロに比べるとやや小型で、身色もやや明るめ。
近年は養殖も進んでいて、回転寿司などでもよく見かけます。
- どんな味わい?
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脂のりはあるけれどくどくなく、赤身とトロのバランスがちょうどいいのが魅力。
本マグロのように大トロがとれ、高級魚として扱われています。
とろけすぎない、でもしっかり旨みを感じる味わいで、「本マグロはちょっと重い……」という方にも人気です。
【③ メバチマグロ】コクと旨みがしっかり派におすすめ
- どんなマグロ?
-
「目がパッチリしている」ことが名前の由来になっているメバチマグロ。
やや丸みを帯びた体型が特徴です。
キハダマグロよりも一回り大きく、太平洋やインド洋で多く獲れます。
スーパーや冷凍食品でもよく使われています。
- どんな味わい?
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赤身の色が濃く、しっかりとした歯ごたえとコクがあるのが特徴。
脂の量はキハダよりも多く、満足感が高め。
「赤身だけだと物足りない…」という方におすすめの一品です。
【④ キハダマグロ】あっさり赤身が好きな人に
- どんなマグロ?
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キハダマグロはその名の通り、黄色いヒレ(黄肌)を持つのが特徴。
世界中の暖かい海で広く漁獲され、日本ではスーパーなどでもよく見かける身近なマグロです。
漁獲量が安定していて1年通して食べられ、価格が比較的手ごろなのも魅力です。
- どんな味わい?
-
赤身が明るい色をしていて、クセがなくあっさりとした味わいです。
脂は少なめなので、さっぱりした料理に向き、夏場に食べたいマグロとしてもおすすめ。
漬けやタタキにもぴったりですよ。
【⑤ ビンチョウマグロ】クセがなくて家族向けにもぴったり
- どんなマグロ?
-
ビンチョウマグロは「ビンナガ」や「トンボマグロ」とも呼ばれ、細長い胸ビレが特徴的です。
体長は大きくても1m程度とやや小さめで、白っぽいピンクの身色がほかのマグロと大きく異なります。
ツナ缶の原料としてもよく使われています。
- どんな味わい?
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やわらかくて淡白、クセがないのが特徴。
脂の主張が少ないので、お刺身が苦手な人でも食べやすいマグロです。
小さなお子さんや高齢の方にも向いていて、家族みんなで楽しめるマグロといえます。
見た目でわかる!漁師直伝おいしいマグロを選ぶ見分け方のコツ


スーパーや鮮魚コーナーでマグロを選ぶとき、「どれが新鮮?」「どの種類?」と迷うことはありませんか?
そんな方のために、おいしいマグロを選ぶためのちょっとした見分け方のポイントを、現役漁師の海野がわかりやすくご紹介します。
赤身の色で鮮度がわかる!
マグロの赤身は、色で鮮度を見分けるヒントになります。
鮮度の良い赤身は、やや濃いめで自然なツヤがあるのが特徴です。
一方、色が黒ずんでいたり、乾いて見える場合は時間が経っていることも。
また、キハダは明るい赤、本マグロやメバチは濃い赤で比較的深みのある色合いのものを選ぶとよいでしょう。
テカリ・水分にも注目!鮮度チェックのポイント
鮮度をチェックするなら、表面の「テカリ」と「水分」にも注目。
新鮮なマグロは、みずみずしくて適度に光沢があります。
乾いていたり、水っぽくベチャッとしているものは、鮮度が落ちているサイン。
特にパックに入っているものは、ドリップ(赤い汁)が多く出ていないかもチェックするポイントです。
見た目の印象がツヤツヤしていれば、それだけでおいしさの期待値が高まります。
形や厚みにも注目!サクの見た目の違い
マグロのサク(刺身用のかたまり)も、実は種類によって形や厚みに違いがあります。
本マグロやミナミマグロはしっかりと厚みがあり、身の密度も高め。
キハダやビンチョウはやや細長く、厚さも薄めの傾向です。
また、断面がスパッとキレイで崩れていないものは、包丁の入りも良く鮮度がよい証拠。
断面の「きれいさ」も選ぶときの大事な判断基準になります。



スーパーなどでは、パックに何マグロか書いてあることがほとんどですが、分からないときは店員さんに聞くのもアリですよ。
冷凍マグロと生マグロ、見た目の違いって?
見た目で迷いやすいのが「冷凍」と「生」の違い。
冷凍マグロは、解凍された状態で販売されることが多く、やや水分が多めで表面にうっすら霜がついていることも。
一方、生マグロは全体にしっとりしたツヤがあり、色味も自然で落ち着いた赤。
パックに「生」や「解凍」と書かれていることもありますが、見た目の質感やドリップの出方を見れば、ある程度は見分けられます。
こんなときはコレ!マグロの種類別おすすめシーン


マグロといっても、種類によって味も脂ののりも違います。
なので、その日の気分やシーンにぴったりのマグロを選べたら嬉しいですよね。
ここでは、暮らしのシーン別におすすめのマグロを紹介します。
今日はちょっと贅沢したい!特別な日のごちそうに


「今日はちょっと特別な食卓にしたい」そんな日には、本マグロ(クロマグロ)がおすすめです。
中トロや大トロの濃厚な脂と旨みは、ひと口で幸せになれる贅沢な味わい。
お刺身盛り合わせや手巻き寿司にすれば、見た目も華やかでごちそう感たっぷり。
家族のお祝いごとや、おもてなしのシーンにもぴったりの「ご褒美マグロ」です。



せっかくのご褒美マグロなら、水揚げから一度も冷凍されてない「生マグロ」がおすすめ。贅沢な気分を味わえますよ。
おつまみにぴったり!晩酌タイムの相棒は?


お酒のおともにマグロを楽しむなら、ミナミマグロ(インドマグロ)がおすすめです。
赤身と脂のバランスがよく、しっとりとした口当たりが日本酒や焼酎、ワインにも合います。
中トロをわさび醤油でじっくり味わえば、晩酌の時間がちょっと特別なひとときに。
軽く炙って香ばしさをプラスするのも◎。



高価なミナミマグロも、訳ありならとってもリーズナブル!筋や皮がついていますが、ひと手間かけて取り除けば問題ありません。
さっぱり食べたいときはこのマグロ!


「ちょっと胃が疲れてる…」そんなときは、キハダマグロやビンチョウマグロを選んでみてください。
どちらも脂が控えめで、すっきりした後味が魅力。
特にキハダは赤身にクセがないので、漬け丼やマリネにも相性抜群。
さっぱり食べたい夏場や、ダイエット中の方にもおすすめのマグロです。
家族みんなで楽しむマグロならこれ!


家族みんなでマグロを楽しみたいなら、クセが少ないビンチョウマグロがぴったりです。
淡いピンク色でやさしい味わいだから、お子さんや年配の方にも食べやすいのが嬉しいポイント。
お刺身はもちろん、ソテーやマグロ丼などにしても美味!
価格もリーズナブルで、ボリュームのある食卓にも対応できる「みんなのマグロ」です。



色んな料理に使えるビンチョウマグロは、多めに購入するのが◎。料理に合わせて必要な分だけ使えます。
忙しい日の「時短メニュー」にも使える!


「今日は手早くごはんを作りたい!」そんなときは、メバチマグロが活躍します。
味にコクがあるので、切って丼にのせるだけでも満足感ばっちり。
たたきや漬けにして冷凍保存しておけば、解凍するだけで一品完成。
お手軽なのに食べごたえもある、忙しい日の頼れる食材です。



お得に購入するなら、訳あり商品がおすすめ。サイズが揃ってないだけで、味はバッチリです!
まとめ:今日のマグロはどれにする?見分け方を知ってもっと美味しく!


マグロには種類ごとに違った魅力があり、選び方ひとつで味わいも大きく変わります。
本マグロの濃厚な旨み、キハダのさっぱり感、ビンチョウのやさしい味わい…。
見た目や色、シーンに合わせた選び方を知っておけば、毎日の食卓がもっと楽しくなりますよね。



次にマグロを手に取るときは、自分や家族にぴったりの一切れを選んでみてくださいね。