「ひやおろし」とは?秋にだけ味わえる日本酒の魅力を解説!

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「ひやおろし」とは?秋にだけ味わえる日本酒の魅力を解説!

秋になると、酒屋さんや居酒屋でよく見かける「ひやおろし」という言葉。

なんとなく「秋限定」の日本酒っぽいけれど、実はその意味や魅力は意外と知られていません。

この記事では、「ひやおろしって何?」という素朴な疑問から、味わいの特徴、種類、楽しみ方まで、丁寧に解説します。

海の食材と相性抜群のひやおろしを片手に、秋の夜長に日本酒の奥深さを感じてみませんか?

お酒は20歳を過ぎてから。未成年の飲酒は法律で禁止されています。

目次

そもそも「ひやおろし」ってどんな日本酒?

そもそも「ひやおろし」ってどんな日本酒?

「ひやおろし」は、日本酒好きにはおなじみの秋の季節限定酒のこと。

でも、初めて聞いた人にはちょっとわかりづらい名前かもしれません。

まずは、「ひやおろし」の基本を解説していきます。

「ひやおろし」は、秋に出回る特別な日本酒

「ひやおろし」は、冬から春かけて絞られた新酒を、夏のあいだ熟成させ秋に出荷する日本酒です。

じっくり寝かせることで、味わいがまろやかに落ち着き、ちょうど「飲み頃」になった状態で店頭に並びます。

酒屋さんや居酒屋に秋限定で登場する、いわば「秋の味覚」としての日本酒。

堀江

日本酒好きがこの季節を待ちわびる理由が、まさにここにあります。

「ひや=冷たい」じゃない?言葉の意味を解説

「ひやおろし」と聞くと、「冷やして出荷するのかな?」と思うかもしれませんが、実はちょっと違います。

日本酒において「ひや」とは常温という意味で、「おろし」は出荷を意味する言葉。

つまり「ひやおろし」は、「常温で出荷されたお酒」という意味なんです。

春に一度だけ加熱処理(火入れ)をしたお酒を、夏のあいだ冷蔵ではなく常温で熟成させ、そのまま再加熱せずに瓶詰めして出荷。

これが「ひやおろし」の名前の由来です。

海野

通常の日本酒は、貯蔵前と出荷前の2回「火入れ」を行いますが、「ひやおろし」の「火入れ」は、貯蔵前の1回だけ行うのが特徴なんです。

どうして秋においしくなるの?

どうして秋においしくなるの?

日本酒は搾りたての新酒も魅力的ですが、時間をかけて熟成することで、角がとれて味にふくらみが出てきます。

ひやおろしは、春に搾ったお酒を夏のあいだしっかりと休ませ、ほどよく熟成させた状態で秋に出荷されます。

夏を越すことで、キリッとした新酒のフレッシュさが落ち着き、まろやかで旨みのある味わいに変化。

まさに「秋の食材と相性抜群」な飲み頃の一本となるのです。

「ひやおろし」と「秋あがり」ってどう違うの?

「ひやおろし」とよく似た言葉に「秋あがり」があります。

基本的にはどちらも「春に搾って夏を越し、秋に出荷される日本酒」として知られています。

しかし以下のような違いがあります。

  • ひやおろし:「春先に一度火入れし、秋に火入れせず出荷する」という製法を表す言葉。
  • 秋あがり:「ひと夏を越して味が良くなった状態」という状態を表す言葉。

「ひやおろし」は、熟成がうまく進み味が良くなっている(=秋あがりした)日本酒なので、広い意味では「ひやおろし」も「秋あがり」の一種といえます。

「ひやおろし」ならではの味わいと魅力

「ひやおろし」ならではの味わいと魅力
出典:Amazon

秋の深まりとともに楽しみたい日本酒「ひやおろし」。

そんな「ひやおろし」を、「今こそ飲みたい!」と思える魅力をたっぷりご紹介します。

まろやかで落ち着いた旨みが特徴

「ひやおろし」のいちばんの魅力は、なんといっても「まろやかさ」

春に搾ったばかりの新酒はフレッシュな反面、やや尖った印象があります。

それにくらべ、夏のあいだ熟成されることで角がとれ、味に深みと丸みが加わるのが「ひやおろし」です。

強すぎず、弱すぎず、バランスの取れた落ち着いた旨み。

飲み口もやさしく、口に含んだときのなめらかさが心地よい。

堀江

まさに「秋に飲みたい日本酒」として愛される理由がここにあります。

冷やでも燗でも◎ 秋の夜長にぴったりな味わい方

冷やでも燗でも◎ 秋の夜長にぴったりな味わい方

「ひやおろし」は、冷やしても、ぬる燗にしてもおいしい万能タイプ。

冷やせばキリッと上品に、ぬる燗にすればふわっと広がる旨みが引き立ちます。

秋の肌寒い夜には、湯気の立つ酒器でぬくもりを感じながら一杯、なんていうのも◎。

温度帯によって味の表情が変わるのも、「ひやおろし」ならではの楽しみ方です。

気分や食事に合わせて、自分だけの「ちょうどいい飲み方」を見つけてみてください。

海野

とりあえず「ひやおろし」を楽しみたいという方には、飲みくらべができるセットがおすすめです。

お酒は20歳を過ぎてから。未成年の飲酒は法律で禁止されています。

相性抜群!秋の味覚と楽しむペアリング

相性抜群!秋の味覚と楽しむペアリング
photo:「海と乾杯」編集部

「ひやおろし」は、秋の味覚と相性抜群!

脂がのったサンマの塩焼き、戻り鰹のたたき、きのこのホイル焼きなど、旬の食材の旨みをしっかり受け止めてくれます。

まろやかで包容力のある味わいだからこそ、素材の個性を邪魔せず引き立てる名脇役に。

食卓に秋らしい彩りを添える「ひと品×ひやおろし」で、季節を感じる晩酌タイムを楽しんでみてはいかがですか?

「ひやおろし」にも種類がある?知っておきたい3つのタイプ

「ひやおろし」にも種類がある?知っておきたい3つのタイプ

ひとことで「ひやおろし」といっても、実は出荷時期で違いがあります。

その個性の違いを知っておくと、「ひやおろし」選びがもっと楽しくなるはずです。

夏越し(なごし)酒

夏越し(なごし)酒は、9月頃に出荷される「ひやおろし」です。

まろやかでありながら軽いフレッシュ感が特徴で、冷酒や常温、みぞれ酒などで楽しむのがおすすめ。

バランスが良くて飲みやすく、季節の変わり目にぴったりな落ち着いた一本です。

秋出し一番酒

10月が近づいてくると出荷されるのが、「秋出し一番酒」

夏越し(なごし)酒よりもさらに熟成はすすみ、味と香りのバランスが最も良く、まろやかな口当たりと芳醇なコクが楽しめます。

冷やでも燗酒でも美味しく、秋の旬の食材と相性が抜群です。

晩秋旨酒(ばんしゅううまざけ)

11月頃に登場するのが、「晩秋旨酒(ばんしゅううまざけ)」。

ひやおろしの中で最も熟成期間が長いタイプです。

濃厚で力強い味わい、まろやかで深い旨みが特徴。

ぬる燗や熱燗など温かい飲み方がおすすめで、鍋料理や濃厚な料理とよく合います。

他の日本酒とどこが違うの?

他の日本酒とどこが違うの?

「ひやおろしって、他の日本酒とどう違うの?」

そんな疑問にお答えするために、「ひやおろし」の個性をもう少し深掘りしていきます。

「生酒」「生詰め」、違いがわかるともっと楽しい

「生酒」「生詰め」、違いがわかるともっと楽しい

日本酒のラベルによくある「生酒」「生詰め」という言葉。

実は、どれも「火入れ(加熱処理)をいつ・どれくらい行うか」で分類されています。

生酒

生酒は一度も火入れをしていないため、フレッシュで華やか。

でもそのぶん要冷蔵でデリケート。

生詰め

一方、生詰めは一度だけ火入れをして、瓶詰め時は無加熱。

「ひやおろし」は生詰めの一種で、一度火入れをしたあと夏を越して再加熱せずに出荷されます。

この違いを知ると、日本酒の奥深さがぐっと広がります。

火入れの回数で分類される日本酒の種類

日本酒は、火入れの回数によって味わいや性質が大きく変わります。

基本的には「二回火入れ」が一般的で、安定した品質と保存性が魅力。

一方で、ひやおろしは「一回火入れ」タイプ

春に一度だけ火入れをして、その後は熟成期間を経て無加熱で瓶詰めされます。

この「一回火入れ」が、ひやおろし特有のまろやかさと、ほんのり残る生酒のような風味を生み出しているんです。

海野

火入れ回数という視点で選ぶのも、おもしろい楽しみ方のひとつです。

季節ごとの日本酒との違い

日本酒には、季節ごとの「旬」があります。

たとえば、冬から春にかけて出回るのが「しぼりたて」や「新酒」。

これは搾りたてのフレッシュさを楽しむお酒で、フルーティーでややシャープな印象。

そして夏には、夏に楽しむお酒をコンセプトに作られた、さまざまな「夏酒」が発売されます。

そこから季節が進み、秋になると登場するのが「ひやおろし」。

堀江

季節によって日本酒を飲み分けるのも、楽しみ方のひとつです。

「ひやおろし」をもっと楽しむために

「ひやおろし」をもっと楽しむために

せっかくなら、自分にぴったりの「ひやおろし」を選んで、秋の晩酌時間をもっと楽しみたいもの。

そんなときは、「ひやおろし」の選び方を知っておくと、楽しみ方も広がります。

どれを選べばいい?ラベルの見方と選び方のポイント

ひやおろしと一口にいっても、銘柄ごとに味わいはさまざま。

まずチェックしたいのがラベルに書かれた情報です。

「精米歩合」が低いほど、雑味が少なくクリアな味わいに。

また、「旨み重視」「キレ味」などのキャッチコピーが書かれていることもあるので、自分の好みと照らし合わせてみるのがおすすめです。

迷ったときはお店のスタッフに、好みの味を伝えるのもアリですよ。

お店での注文のコツ・会話のタネに

お店での注文のコツ・会話のタネに
photo:「海と乾杯」編集部

居酒屋や日本酒バーで「ひやおろし」を注文するなら、ちょっとした一言が会話を弾ませてくれます。

たとえば「まろやかめのひやおろしってありますか?」と聞くだけで、スタッフも選びやすくなり、気さくにおすすめしてくれるでしょう。

さらに、「おすすめの秋あがりとひやおろしを飲み比べたい」なんて注文すれば、日本酒トークのきっかけにも。

海野

無理に詳しくなる必要はないけれど、ちょっとした興味が晩酌の時間をもっと豊かにしてくれます。

ひやおろしの季節はいつまで?楽しめる時期と保存のコツ

ひやおろしは、例年9月〜11月ごろに出回ることが多く、秋の間だけ楽しめる「季節限定酒」

ただし、人気の銘柄はすぐ売り切れてしまうこともあるので、気になるものがあれば早めに手に入れておくのが正解です。

保存は冷蔵庫が基本。

一度開けたらなるべく早く飲み切るのがおすすめですが、飲みきれない場合はしっかり栓をして立てて保管を。

冷やしておいて、晩秋にぬる燗で楽しむのもまた一興です。

まとめ|秋は「ひやおろし」で「海と乾杯」しよう!

まとめ|秋は「ひやおろし」で「海と乾杯」しよう!

「ひやおろし」は、春に搾った日本酒を夏のあいだ熟成させ、まろやかさと旨みを増した秋限定の一本。

名前の由来や味わい、種類の違い、他の日本酒との違いを知ることで、その魅力がぐっと深まります。

冷やでも燗でも楽しめて、秋の味覚や秋の魚との相性も抜群。

「今年の秋はどれにしよう?」と、日本酒選びが楽しくなるはずです。

海野

今夜は「ひやおろし」で、「海と乾杯」してみてはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人

魚と海のプロ!現役漁師の海野隆之と、食いしん坊編集者の堀江光が、海のある暮らしをもっと身近に、もっと楽しくお届けします。

「魚と酒をこよなく愛す」2人が、釣って、食べて、書いて、語って。
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